子どもと眠り

9月1日の金曜日、夕方からけいはんなプラザにて行われた「赤ちゃん学講座」を受講させていただきました。第1回目の講師は熊本大学名誉教授であり、兵庫県子どもの睡眠と発達医療センター参与でもある三池輝久先生で、テーマは「赤ちゃんの眠りと生活リズム」でした。

三池先生は、子どもの睡眠に関する研究領域ではとても有名な先生です。私もお話を聞くのは今回で3回目になります。金曜日の夜6時半からの研修だったからか、参加者が10人に満たないくらい少なく、非常にもったいなく感じました。

最近、生活リズムが崩れている子どもたちが多くなってきています。特に、睡眠時間については、夜10時以降になっても親子で外を歩いていたり、居酒屋やコンビニで見かけることがあります。眠りというのは、身体を休める以上に、特に子どもの時期は「脳を創り育てる」役割があります。乳幼児期の睡眠時間は、

0歳・・・12時間
1歳・・・11時間45分
2歳・・・11時間20分
3歳・・・11時間
4歳・・・10時間35分
5歳・・・10時間15分
6歳、・・10時間


が必要だと言われています。その上で、睡眠時間だけが足りていれば良いというものではなく、学校社会活動時間に適応できるよう、夜間睡眠は夜7時から朝7時までにとる必要があると、三池先生はおっしゃっています。

私が特に印象的だったのは、フランスの子育てに関する話でした。フランスでは、赤ちゃんが夜中にぐずってもすぐにあやすのではなく、少し待つのだそうです。また、夜間の授乳は新生児期終わり(生後1ヶ月)には中止するそうです。その結果、フランスの子どもは夜泣きをあまりしないと言われています。

では、なぜそうするのか?

それは、夜ぐずるたびに授乳する行為は、赤ちゃんに「その時間に目を覚まさなければならない」という感覚を作り、睡眠障害につながるそうで、夜中に泣いてもすぐには対応せず、赤ちゃんが自力で落ち着くのを待つことで、「自分で自分を静める力」を育てるのだそうです。

それを聞いた時、「幼少期における脳の感受性」に関するグラフを思い出しました。(下図)

(日本経済新聞より)

上の図で、ピンクの線が「情緒」つまり、自己抑制能力(自分の気持ちを静める力)です。
見ていただくとわかる通り、1歳前後のところが最も脳の感受性が高くなっているかと思います。

※脳の感受性が高い=受け皿が大きく、良質な環境に置けば最も大きく成長する可能性があるということ


自己抑制能力は、最近注目を集めている「非認知能力」の一つであり、これからの時代に特に必要だと言われている能力です。子どもが多く生まれた時代は、家庭に兄弟が多くいて、1歳になると弟や妹が生まれるため、これまでお母さんを独占して甘えていた子は、下の子にお母さんを譲らないといけませんでした。そうやって昔の子どもは自己抑制能力を自然と身につけていきましたが、最近は少子化です。一人っ子が多くなり、兄弟の数も少なくなりました。家庭では、自己抑制能力を育む環境は少なくなりました。では、1歳前後の時期に、年齢の近い子どもたちがたくさんいる場所はどこか?それは保育園です。保育園は、これまでのお母さんの代わりを担う場所から、子ども同士の関わり、つまり「社会」を担う場所に変わってきているのです。

しかし、育児休暇は待機児童解消のためにどんどん延長され、今年には最長2年に延長されるようです。つまり、2歳になるまで子どもたちは家庭にいて、子ども同士の関わりを持たずにお母さんとほとんどの時間を一緒に過ごすことになります。昔は「3歳児神話」があり、3歳までは家庭で見ることが大事と言われてきました。今も根強く残っていますが、それは家庭や地域に子どもが多くいた時代の話です。これからの時代は、乳児期から子ども同士の関わりが持てる「保育園」の役割が益々大きくなっていくのだと思います。

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